私は約6年前に厚木から川崎に引っ越しをしている。
厚木に住んでいた時の方が、周りに自然は多かった気がする。
国道246号線で相模川を渡ると、海老名市から厚木市に変わる。
すると、視界に広がる景色も大きく変わる。
目の前に、ちょっとした山脈が見えてくるのだ。
厚木に住む以前は実家に住んでいたのだけど、実家は横浜市にあり、それこそ市街地の中にあった。
近くにある自然と言っても、実家から少し行ったところにちょっとした小山があって、その近くで地元の人が細々と稲作をしているくらい。
それ以外は、普通の住宅街にあるような普通の公園。
身の周りの自然は本当にそのくらいだった。
だから、実家の横浜から厚木に引っ越した時に、まずその目の前に広がる山脈に少し感動した。
そのような山脈を日常生活の中で見ながら暮らす、ということが単純に新鮮だった気がする。
その山脈は、丹沢の山々だった。
今思えば、厚木に住んでいた時に、その丹沢の山に一度くらいは行っても良かったのかもしれない。
それこそ本厚木駅からバスで一本で、その丹沢の山に行くことができる。
だけど、私は厚木に暮らしていた約7年間、一度も丹沢の山に行くことはなかった。
たったの一度も。
その当時は仕事が本当に苦しくて、毎日朝早くから夜遅くまで働き続けていた。
土日も時々は休日出勤していたし、休みだったとしても、仕事のストレスの中で私のエネルギーは完全に消耗していたので、何もすることもできずに無意にその時間を過ごしていた。
時間的にも、そして精神的にも一杯一杯で、本当に余裕がなかった。