最近読んだ一冊の本。
「潜入ルポ amazon帝国」
著者はさっそくamazonの小田原物流センターにバイト申し込みを行う。
その物流センターではいくつかの派遣会社が労働者を提供しており、その中の一つの会社と面談を行う。
すぐに採用になり、その物流センターで働くことになった。
仕事の内容は、客に送付する商品のピッキングをひたすら繰り返すというものだった。
物流センター内のどの棚にその商品が保管されているのかが手持ちの端末に表示され、その場所を目掛けて歩き続ける。それこそ1日十数キロも歩き続ける。本当に体力勝負の仕事。
中には、仕事途中に亡くなる人もいるらしい。
ピッキング作業中に作業者が倒れると、まずはamazon社員が呼ばれる。
そこでamazon社員が状況を確認してから必要に応じて救急車を呼ぶ。救急車を呼ぶのにもamazon社員の許可が必要なようで、他の作業者が救急車を呼ぶことはできない。そもそもとして、倉庫内にスマホなどの携帯デバイスの持ち込みは禁止されている。
救急車を呼ぶのが遅れたので亡くなってしまった人もいるのではないのか。
著者はそこにも警鐘を鳴らしていた。
世の中には、このような仕事もあるのか。
そんな思いを抱きながら読んでいた。
私たちはamazonをワンクリックで買い物ができる便利な道具だと見てしまう。
サイト上で商品をカゴに入れて注文ボタンを押せば、その荷物は数日後に自動的に自宅に配送してもらえる。
そんな表象だけを見てしまう。
だけど、その裏では、このような人たちの支えがあって初めて成り立っていることでもあった。
このような本を読んでいると、そのことを改めて気付かされる。