先日、一冊の本を読み終えた。
図書館で色々な本の背表紙を見ていくなかで目が止まって、借りて読んでいた。
湊かなえについては、数年前に初めて読んだ「告白」の衝撃が大きくて、それ以来この作者の本を読むようになった。
そしてこの“ひばりヶ丘”が物語として重要な意味を持つ。
そのひばりヶ丘で起こった一つの事件。
その事件を、ひばりヶ丘の住人である遠藤家、高橋家、小島家の三者の視点から描いていく。
高橋家は弘幸と淳子の夫婦の間に、良幸、比奈子、慎司の三人の子供がいる。長男の良幸は大学生ですでに実家は出て一人暮らしをしていて、高校生の比奈子、中学生の慎司は実家で暮らしている。
その高橋家で一つの殺人事件が起こる。
高橋家の夫であり父親でもある弘幸が殺された。
そしてその犯人として、妻の淳子が
「自分がやった」
と警察に自供する。
なぜ弘幸は殺されたのか。
犯人は本当に淳子なのか。
それが遠藤家、高橋家、小島家のそれぞれの家族の視点から浮かび上がっていく。
なかなか重たい内容だった。
そのような暗い現実を描いた物語は別に嫌いではないのだけど、それでもその物語のどこかには希望はあって欲しい。
その意味でも、この物語の終盤に、ちょっとした希望が描かれていたのは良かった。