ある人のFIRE日記

日々思ったことを書いていくだけのブログ

とても暑かった2018年の夏(9)

 

中途採用の内定を企業Bからもらって、企業Bにその返事をする前のことだった。

 

 

 

私は、内定を受けることを自分の中ではほぼほぼ決めていたのだけど、企業Bの人事担当に最終回答をする前に、転職したら実際に自分が働くことになる事業所を自分の目で見ておきたいと思った。

 

そう思った私は、その事業所に行ってみることにした。

 

 

 

 

その時はまだ前職である企業Aで働いている状態だったので、その事業所を見にいったのは土曜日か日曜日の仕事が休みの日だった気がする。

 

私はその当時住んでいた厚木から、電車を乗り継いでその事業所に向かった。

片道一時間半もかかるような距離だったのだけど、転職は人生の大きな岐路だ。そのくらいの労力は払うべきだと考えた。

 

 

 

事業所の最寄駅に降り立ち、私は頭の中に叩き込んだ地図に沿ってその事業所に向かった。

 

あたりは住宅街となっていて、休日の街はひどくひっそりしていた。

 

10分ほど歩くと、住宅街に、仕切りで囲われた大きな建物が見えてきた。転職したら私が毎日通うことになる事業所だった。

 

 

 

休日だったので、その仕切りの中も人気は全くない。

 

「もし、転職したら、ここで働くことになるのか・・・」

 

私はそんなことをぼんやり考えながら、その事業所の周りをゆっくりと歩いて行った。

 

 

 

私の心の中にはいろいろな感情がうねり続けていた。

 

 

転職すれば、今の企業Aからの苦しみからは逃れられる。

 

だけど、転職先の企業Bで、さらに深い暗闇が待っていないとも限らない。私のような社交性の欠けた人間が転職をして、一から新しい人間関係を作って仕事をしなければならないのだ。そこには今以上の苦しみしか待っているのではないのか。

 

 

 

前に進んでも、進まなくても、私をとりまく絶望は変わらないような気もした。

 

 

それでも、私は前に進むしかなかった。

 

それ以外の選択肢はなかった。

それくらい、その当時の私は追い込まれていた。

 

 

 

私は、

「恐れることはない、前に進もう」

そう自分に言い聞かせて、その事業所を後にした。

 

 

 

 

 

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