セガアメリカのCEOに就任したカリンスキーは、マーケティングという自分の強みを最大限に活かし任天堂からシェアを奪っていく。
自分の部下を鼓舞し、セガ本社との難しい折衝をこなし、そして「ソニック」というキャラクターを切り札にし、業界の巨人であった「任天堂」に戦いを挑む。
私はこの本を読みながら、
「このような人は、本当に仕事が楽しいんだろな」
と思った。
自分の強みを生かせる仕事があって、そして自分自身が情熱を持てる仕事がある。
それに全力で取り組むことで大きな結果に結びついていく。仕事というものを通じて、世界にインパクトを与えることができる。
このカリンスキーという人物が、そのような仕事をしているように見えた。
それは「労働」というものにおける私の一つの理想だった。
私が企業Aに新卒で就職し、そして社会人になったときには、そのような思いがほんの少しでもあったのだろうか。
正直思い出せない。
おそらく無かったのだろうな。
もしあったら、その企業Aにおける仕事人生はもっと充実した意味のあるものになっていたはず。私は入社して半年後には、自分のしている仕事に意味が見いだせなくなっていた。
そもそもとして私の人格が、会社という枠組みで働くのには向いていなかったというのも大きかった。
だけど、私はその「労働における理想」の看板を下げたわけではなかった。
その理想が会社という枠組みの中にないのなら、別の場所で探せばいいと考えていた。