鳥取に帰省する日。そして鳥取から帰京する日。それぞれを選び出し、往復航空券として予約していく。
航空券としては「株主優待券」を利用して購入することにした。
だけど、基本的に私は旅行をするような人間ではなかったので、航空会社から送られてくる株主優待券を使用せずに有効期限が過ぎてしまうことが多かった。
せっかくだから使用しない株主優待券は金券ショップで売ってしまおうと思い、一度川崎駅前の金券ショップにその株主優待券を持ち込んだこともあったが、本当に少額でしか売ることができなかった。
その件があってから、このくらいの値段なら、別にわざわざ金券ショップまで売りに行かなくてもいいか、と思えてしまい金券ショップに行くことも無くなっていた。
久しぶりに優待券を使用する。
最近の優待券は銀の目隠しをコインで削って、その目隠しの裏にある優待券番号が見えるようにする必要がある。私自身このタイプの優待券になってから、優待券を使用するのは初めてだった。
父からはメールで、
「100円玉で削ろうとしたらうまく削れなくて、その下の番号まで削れてしまい困ったことがあった。500円玉で削ったらうまく削れたので、500円玉で削るのがいい」
と書いてきていた。
小銭入れを見ると、あいにく500円玉は無い。
父はメールで、「500円玉が無いのなら、次に実家に来たときに500円玉を貸すので、そこで航空券を予約してもいいだろう」とも書いていたが、その時点で鳥取行きの便の空席が10席以下の表示が出ていた。数日予約を先延ばしすることによって満席になってしまうことも考えられた。
父は500円玉と言っているけど、別に10円玉でも問題ないだろう。
私は小銭入れから10円玉を取り出し、そのコインの角を使って銀の目隠しを削っていく。すると、その銀の目隠しはきれいに削り取ることができた。
「500円玉」という説は一体何だったんだろう。
そんな思いを抱きつつ、私は購入サイトで次のステップに進んでいった。