まだ学部生だったころ、物理や化学の授業(実験)の中でレポート課題を出されることがあった。
そのレポートを作成するために大学の図書室をよく利用していた。
実験結果を整理し、そしてそれに対する考察を記載しなければならない。
そのために使えそうな箇所はないかと図書室の色々な専門書を漁り、ちょうどいい本があれば、図書室の机までその本を持ち出す。そしてそこの内容を転記した。
それほど熱心な学生というわけでもなかったけど、私はそのようにして毎回レポートを作成していた。もっと要領のいい生徒は、過去のレポート資料などを入手してそれを友人間で共有してそのまま活用する、ということもやっていたのかもしれない。だけど残念ながら、私は「要領のいい生徒」ではなかった。
交友範囲は極端に狭く、私の方から友人を作るということができない人間だった。
そうなると「本」を頼りにするしかなかった。
大学4年になると、「院試」というものが目の前に迫ってくる。
私が通っていた学部は「工学部機械学科」ということで、理系ということもありそのほとんどが大学院に進む。学部卒で就職に進む人は本当に数えるほどだった気がする。
当然、私も大学院を目指した。
大学院で特に「◯◯を勉強したい」という思いは全くなかった。ただ、周りも大学院に進むから。そして、少しでも「就職」を先延ばしにするため。その理由だけで私は大学院を目指した。
試験は8月終わりから9月頭頃だったと思う。
それに向けて、多くの同級生は受験勉強をしていた。
当然、私もしていた。
数学、物理、そして英語。
その三教科の過去問問題集を購入し、そしてその中の問題を毎日死にそうな思いをして解き続ける。8月となれば、夏季休暇ということもあり、大学の授業もなかった。だから、ひたすらその問題集の問題を解き続けていた。
基本的には自宅の自分の部屋でその作業をしていたのだけど、時々大学の図書室に行くこともあった。