まだFIRE生活に移行する前は、
「平日の午後なんて、図書館はがらがらだろう」
と思っていたのだけど、会社という枠組みから離れた後に、実際に平日の午後の図書館に行ってみると思ったよりも人が多い。
その多くは60歳を超えたような高齢者の人たちだった。
その駅前の図書館は新聞や雑誌なども置いていたので、その新聞コーナーの前の椅子には、多くの高齢者の人たちが座って新聞を読んでいた。
おそらく、定年後に時間を持て余してここで時間を潰しているのだろう。
定年後の生活とFIRE生活は似ている。
もう会社という自分を縛るものは存在しない。一日の時間をどのように使うかは自分自身で決められる。
ただ、その自由な時間でしたいことが自分の中に何もないのだとしたら、本当に時間を持て余してしまうんだろうな。
今の私には「したいこと」が山のようにあったので「時間を潰す」という概念はなかった。だけどずっと会社勤めをして、定年後に「したいこと」を持っていないと、ぽっかりと穴が空いたような毎日の前に途方にくれる、ということもあるのかもしれない。
そんなことを思いながら、私は午後の図書館の中を歩いていた。
私自身も特に自宅で新聞を取っているわけではなかったので、情報収集として図書館で新聞を読むということを以前は考えたこともあった。
ただ、そのような高齢者の人たちに混じって新聞を読むのは何だか息苦しさを感じてしまい、結局その図書館で新聞を読んだことは一度もなかった。
図書館の中で本を読むということもなかった。
図書館ではデスクがいくつか用意されていて、空いていれば一定時間はそのデスクを借りることができる。そこでは何かの勉強をしているのだろう、大学生のような人たちが本を開きながらノートに何やら書いている姿を見ることもあった。
そのような人たちに交じって、図書館のデスクで本を読むのも気づまりだった。
そんなところで読まなくても、本を読むのであれば自宅で読めばいい。
私は目的とした本を借りると、すぐに図書館の外に出るようにしていた。