待合室のソファに座りながら、私はこれから受けることになる診察のことについて考えていた。
今の時刻が9時25分。
そして予約した診察予定時間が9時30分から10時までの30分間。
すぐに私の診察の番がやってくるはずだった。
どのような診断が下るのだろう。
そのことが気になって気になって仕方がなかった。
待ち時間はスマホでKindleを開いて、読書中の小説を読もうと思っていたのだけど、その診察のことがどうしても頭の片隅から消えてくれなくて、読もうにも全く集中できない。
途中で読むのを諦めて、スマホをポケットにしまってただ目を閉じて自分の診察の時間がやってくるのをじっと待っていた。
私の診察が行われる予定となっているのは16診察室と、手元の用紙に書かれている。
その16診察室からは、時々扉が開いて、看護師が、
「◯番の方、中にお入り下さい」
と待合室に声をかける。
そのたびに、待合室の誰かが立ち上がりその診察室の中に入っていく。
9時30分がやってきて、そして5分、10分、20分、30分が過ぎていく。
私の番号はなかなか呼ばれなかった。
それなのに、他の番号の患者が次々と呼ばれて16診察室に入っていく。
私は彼らの背中を見送りながら、じっと自分の番号が呼ばれるのを待つ。
頭の中では、
「おそらく先ほど受けた検査の結果が出るのを待ってからの診察になるのだろう。まだ検査の結果が出ていないから、私の診察の順番がやってこないのだろう」
冷静にそんなことを考えていた。
10時を少し回ったところで、ようやく私の番号が呼ばれた。
私は「はい」といってソファから立ち上がる。
そして16診察室のドアを軽くノックしてから、その中に入った。