“おくりびとになりたくて ~大切な誰かと別れるとき~”
陽子さんは48歳のときに、それまで17年間勤めた保険会社を辞め、納棺師を目指す。
母親の死がきっかけになったという。
その当時のことを思い出しながら話す姿が、番組では放映されていた。
「途中で嫌になっちゃったんですよね。私も忙しかったから」
「『いいかげんにしてくれない?』って途中で思っちゃった」
その当時仕事で忙しかった陽子さんは、病気で療養中のその母親に、突き放すような態度を取ってしまった。
そして母親が亡くなった時に、自分が母親に取った態度を後悔する。
「申し訳なかったなと思う」
その母親の納棺の時に、一人の納棺師が家を訪れる。
「納棺師さんが来て着替えをして」
「それから母の話をいっぱいして」
その納棺師の言動に、陽子さんは救われたような思いがしたという。
それが一つの原体験となって、「いつか自分も納棺師になりたい」と思うようになった。
陽子さんは二人の娘を育てるシングルマザーだったが、その二人の娘が独立した後にそれまで勤めていた保険会社を辞め、納棺師になるための専門学校に通い始める。