父の実家は鳥取県にあるのだが、約20年前に祖父が亡くなってからその実家は無人の状態が続いている。
そうかと言ってその家を全く使っていないというわけでもなく、所用があって両親が鳥取県に帰省する際はその実家に寝泊まりをしていた。
なので、年数回は帰省時にその家に泊まるということをこの20年続けていた。ただしそれ以外は完全に無人の状態だったし、家を最低限維持するために色々と定期的に発生するコストもあった。
それに両親も高齢の域に差し掛かってきており、「相続」という問題が現実的な問題として私達の前に現れ始めていた。
それほど鳥取県に所縁の無い私がその実家を相続したとしても、処分に困ってしまう。できれば父の代でその実家を処分について目途をつけて欲しいと以前から伝えていたのだ。
以前は父は、老後は自分の出身地である鳥取の実家に戻って、そこで暮らすということも考えていたようだが、父は大学進学と同時にその実家を離れている。それこそ50年以上離れていた生家に、老齢になってから戻っても周りとの付き合いも絶えてしまっているし、その中で「田舎」という人付き合いが濃厚な場所に暮らすということは現実的には難しい。
かなり以前にそのような考えに変わったようで、父の頭の中では鳥取に拠点を移すということは全く考えていないようだった。
それもあって、少し前から、付き合いのある不動産会社にその実家の売却の件を相談していたのだ。
今回の鳥取の帰省において、不動産会社の担当者と直接会って、その売却の状況についてのヒアリングをするということも帰省時にやろうとしていたタスクの中の一つだった。
そのヒアリングの中で色々と進展があったことを父は私に語った。
それ以前は、その不動産会社は社内にいくつか在庫不動産を抱えているのですぐに買い取りは難しいと言っていて、早くても年明けとのことだった。その買取日程はまったく提示されていなかった。
ただ、今回帰省してその状況についてヒアリングをすると、その在庫不動産もはけてきて、ようやく実家の買い取り手続きに移れるとのことだった。
具体的な買取スケジュールの提示もその中であった。