診察の予約は朝9時半だったので、8時半過ぎには家を出た。
診察の前に検査を一つ受ける必要があって、診察の30分程前に病院に来るように言われていた。
三ヶ月に一度の通院の日。
その日はいつもと違う朝を過ごすことになる。朝早くに家を出なければならないし、検査結果を待ってから診察を受けることになるので、結構待ち時間も長い。家に帰れるのも午前の遅い時間になるのが常だった。
FIRE生活という、ある意味では毎日変わらず一定のリズムで日々を過ごしているので、このような日はいつものルーティーンができなくなってしまうこともありどうしても生活のリズムが崩れてしまう。
ただし、それも三ヶ月に一度のことなのでと、受け入れていた。
FIRE生活に移行してから、朝早くに家を出るということは本当に無くなった。
会社員時代は、毎朝7時半には家を出て通勤電車に乗り込んでいた。その前日に夜遅くまで残業していたとしても、翌日の朝の始業時間は変わらない。寝不足とストレスによって心身がぼろぼろになっていたとしても、私は毎朝その朝早い通勤電車に乗らなければならなかった。
ただ、それも今や遠い昔の記憶のようだ。
私は、通勤途中と思われるスーツ姿の人たちに混じって朝の街を歩く。彼らは会社に向かい、そして私は病院に向かう。
彼らは、これから一日働くことになる自分の職場に向かって黙々と歩き続けていた。
私は、彼らの様子を横目で見ながら、その姿に昔の自分を見たような気がした。
それは一種の懐かしさだった。
そして、「もうあの日々に戻らなくていいんだ」という安堵感でもあった。
